監修者からの挨拶
このたび「社会主義協会」が二つに別れて、あらたに雑誌『科学的社会主義』が出版されることになり、私たちがこの新刊誌の監修を引き受けるようにいいつかった。
といっても、編集長は経験を積んだ専門家であるし、また多くの人材をそろえた編集会議が定期的に開かれ、私たちはその編集方針の決定を確認しさえすればよいということで、お引き受けした次第である。
これまで、具体的な問越にかんして協会内に意見の相違があった。私たちは、いかに考えの違いがあっても、最後には科学的社会主義の立場で一致点をみいだしうるものと考えていた。しかし、抽象的にはそうはいえても、異なる政党の問題がからんでくると、さほど事柄は簡単ではない。実際には、「新社会党」を支持するわれわれの協会員と、「社会民主党」または「民主党」を支持する協会員が、一つの組織に同居することの難しさ、というより不可能たることは明らかなことだった。
二つの協会に分裂しても、問題によって協力しうるかぎりにおいては協力しあい、最終的にはいずれの協会が労働運動のなかで理論的、実践的により多く寄与しうるかを競い合うことの方がはるかに生産的である。むろん、そのためには、われわれの協会自体の組織の拡大も果たさなければならない。雑誌『科学的社会主義』はこれらの目的のための重要な手段の一つである。
この新刊誌には、いま一つ重要な役目がある。きたるニー世紀に向けて、社会主義協会『新テーゼ』を作成することである。
旧テーゼは高度成長期の末期に発表されたが、その後、高度成長を支えた資本主義国家の規制システムの破綻をへて、いまでは「新自由主義」と「多国籍企業」とをキーワードとする現代資本主義の構造転換の時代に直面している、他方で「現実の社会主義」は崩壊してしまい、それこそ先の読みがたい世界史的段階にわれわれは置かれているといってよいようである。
この複雑な現実をいかに解剖し、それを将来の展望にどのようにつなげるかをしめすことが、協会テーゼの任務である。またそれなくして、今日の労働運動の具体的な課題を根底から明らかにすることはできない。
新テーゼの作成そのものは、むろん起草委員会の担当する仕事である。雑誌『科学的社会主義』は、その作業ができるだけ順調に進捗するように協力する。
監修者としての私たちのなしうるであろう力量がまことに隕られたものであることは、私たち自身がよく心得ている。ただ本誌を日本の労働者運動に、豊富な情勢分析と運動論を提供するマルクス主義理論誌に育て上げることに力を尽くす所存である。
監修者 近江谷左馬之介
塚本 健
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