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展望

科学的社会主義の展望  2022年1月~6月


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●月刊「科学的社会主義」No.285 2022年1月号
    最賃闘争に弾みをつけるノーベル賞
                             社会主義協会代表   河村洋二

 2021年のノーベル経済学賞に「最低賃金」の研究で成果をあげたカリフォルニア大学のデビツド・カード教授等米学者3人が選ばれました。「最低賃金の上昇が雇用の減少につながらないことを明らかにし、最低賃金を上げると経営者が雇用を減らすとの見方を覆した」(共同通信21年10月12日)ことが評価されたとのことです。カード教授等の研究によると、「最低賃金を上げると雇用の減少につながるとか失業率が上がるといった従来の労働経済学上の常識は必ずしも正しくないこと。最低賃金の引き上げと雇用の減少の間に因果関係がないこと」が実証されたということでした。
 「最低賃金を引き上げれば、雇用危機を招く。新期採用も控えざるを得ない。それでもいいのですか」は、私たち労働側の最低賃金引き上げ要求に対する経営側反論の常套句であり、公益委員も否定してきませんでした。しかし、今回のカード教授等の研究(自然研究、実証実験)成果は、それが正しくなかったことを立証しました。そして、ノーベル賞がこれにおすみつきを与えました。

 春闘の柱に最低賃金引き上げ闘争を
 一昨年、中央最低賃金審議会は、「2025年までに最賃1000円を実現する」とする政府公約にもかかわらず、またすべてのナショナルセンターの反対にもかかわらず、これを無視し、最低賃金を引き上げる目安額(最賃目安額)を見送り大問題になりました。理由はコロナ不況だからということでしたが、コロナが猛威を振るっていた欧米でもアメリカ(436円引き上げ1635円)に、ドイツ(125円引き上げ1397円)に、フランス(36円引き上げ1324円)に、イギリス(29円引き上げ1363円)に大幅な最低賃金の引き上げが行われていました。これに比して日本のあまりにも甘い生活困難者の実態把握や低い最低賃金(全国単純平均844円、加重平均902円)、そして全国を4ランクに分けるランク制の矛盾が、大きな問題として浮き彫りになったからです。コロナ禍で最低賃金では生活できないパートやアルバイトなどが続出し、さらにパート、派遣、アルバイト切りが横行、コロナ解雇者11万人はもとより、生活困難者、生活保護申請者はピークに達していました。
 最賃闘争は、最低賃金レベルにある労働者(6%、400万人)だけでなく新規採用者や生活保護者、年金生活者、地域経済にも波及します。最賃引き上げの熱は今も続いており「最低賃金今すぐ1000円、目指せ15001円」の実現に向けて全力を上げ、たたかいを強めていかねばなりません。
 非正規春闘を提唱している労働運動研究フォーラム(伊藤彰信事務局長・元全港湾委員長)は、一昨年から春闘の柱に最賃闘争を据え、春闘再構築をアピールしています。「いまや就業労働者の40%2000万人を超えたといわれる非正規労働者の低賃金構造を打ち破らなければ賃上げも春闘勝利もない。したがって格差と貧困の拡大にストップもかけられない。組織拡大も進まない」と。まさにそのとおりです。
 しかし、連合は生産性三原則(雇用確保、労使協力、公平な分配)に固執し、21春闘では賃上げより賃金水準の維持などと春闘を放棄。その結果は、賃上げどころか定期昇給も確保できない5233円(1.79%)に終わりました。
 ここ25年、先進国で唯一日本の賃金だけが下がり続けています。低賃金で働く未組織の非正規労働者の拡大に要因があることは間違いありません。そのことが賃金相場を押し下げ賃金交渉を困難にしているのです。この問題の解決を図るには最低賃金の大幅引き上けが必要です。そのためには労働組合(正規労働者中心)が最賃闘争に立ち上がり、正規労働者と非正規労働者の団結と連帯を強め、非正規労働者の組合員化、組織化を進めることです。最低賃金の大幅引き上げを22春闘をたたかう労働者、労働組合の柱にしなければなりません。連合や全労連、全労協にも働きかけ、オール労働団体で最賃闘争を大きく盛り上げたいものです。

 私の22年春闘方針
 そこで私の22年春闘方針を紹介します。中身はいうまでもなく最賃闘争(非正規春闘)の強化です。
 私の春闘の第一の課題は「22最賃闘争キックオフ集会 in 高知」の開催です。2月初旬に開催できればと思っています。「最賃1500円実現・JAL解雇撤回四国キャラバン実行委員会」の主催で労働運動研究フォーラムや「最低賃金の大幅引き上げキャンペーン委員会」などの協力を得て高知開催(調整申)を願っています。その理由は、昨年(2021年)の最賃改定でDランクの高知が全国最低の820円とされたので、怒りの「820円全国最低最賃脱脚宣言」(仮称)を発し、全国最低最賃を高知から返上するとともにマスコミにアピールして県内はもちろん全国の22最賃闘争に弾みをつけるためです。高知労働局への申し入れ(①最賃1500円実現、②ランク制廃止、全国一律最賃制実現、③JAL闘争の早期解決)や連合高知、県労連高知、全労協高知)への激励要請行動などを行いたいと思っています。
 第二の課題は、県春闘講座実行委員会で8年前から続けている「22春闘講座」(2月末)の開催です。昨年は「コロナ感染症と労働者・労働組合」(講師・宇野克己全港湾神戸支部書記長)をテーマに県内3会場(150名参加)で開催しました。今年は「最低賃金闘争とは何か、その意義と課題」(講師・未定)で行いたいと思っています。目的は総評が始めた春闘の歴史や目的を語り伝えるためです。連合はその発足(1989年)当初から春闘を「春季生活改善闘争」という言い方で、いわゆる闘う春闘イメージを変えようとしてきました。マーケット・バスケット方式(生活実態・労働実態)からの賃金要求でなく、生産性基準原理だとか経済整合性とか経済指標を駆使し、結局生産性の枠内の賃金要求にとどめ搾取の実態やストライキから労働者を遠避け、資本と労働の対立を覆い隠してきました。当然春闘は敗北が続きました。
 残念なのは私たちの中にも高齢化、退職を理由に春闘無関心が増えていることです。今日でも労働者の最大関心事は賃金です。退職しても高齢者でも春闘にしっかりかかわることが、現役との共通認識を持ち続けることになり大切だと思います。現役労働者と一緒にたたかうチャンスを春闘や学習会、原発、環境問題で広げることが私たちの未来をつくります。非正規春闘、最賃闘争は現役労働者と人間関係を深めねばならない私たちにとって絶好のチャンスではないでしようか。
 第三の課題は「最賃1500円実現四国キャラバン」を成功させることです。私たちは三年前の「労働法制改悪反対全国キャラバン」の一環として同「四国キャラバン」に取り組みました。その時は厚労省の裁量労働制に関する調査資料の不正不備があり「みなし労働の改悪反対」の世論が高まり「みなし労働の拡大」に歯止めをかけることができました。その経験から「四国キャラバンを定着させることができれば運動の活性化につながる」と考えていました。そんな折、「労運研」から非正規春闘を盛り上げるための最賃全国キャラバンの提起があり「最賃1500円実現・JAL解雇撤回四国キャラバン」に取り組んだのです。
 最賃四国キャラバンでは①4泊5日で四国各県を回りながら、②四国各県労働局への申し入れと交渉(主な要請項目は、最賃1500円引き上げ、最賃4ランク制の廃止と全国一律最賃制の実現、最賃引き上げに伴う経営圧迫について中小零細企業への税・社会保障の減免など支援措置の実施、など)。③最賃の大幅引き上げとJAL解雇撤回闘争の早期解決キャンペーン行動、④最低賃金の問題点の学習・交流、⑤非正規労働者・会計年度任用職員との交流・討論、を行ってきました。今年度はさらに⑤連合などナショナルセンターへの激励、要請行動、⑥自民党最賃議員連盟メンバーや参議院議員候補への要請行動などを加え、マスコミ対策も含め最賃の大幅引き上げムードをより一層高めていきたいと考えています。

 最賃闘争の意義i全労働者の賃金を底上げ
 日本の労働者の賃金はここ25年下がり続けています。なぜ賃金が上がらないのか。大企業労働者の賃金が上がったとしても低賃金の非正規労働者が拡大し平均賃金が下かっているからです。労使協調を旨とするナショナルセンターが大リストラ、グローバル資本主義(新自由主義)を前に産別自決と称して機能せず、「雇用か賃上げか」を迫られた既存の労働組合は「雇用を選択」しました。その結果、賃金より雇用となり、雇用を守るためには、つまり正規労働者の雇用不安をなくすためには、賃上げを我慢するしかないということで、自ら賃金交渉力を低下させてしまったのです。
 国税庁の「民間給与実態統計調査」(2020年)では、年間平均給与が2年連続減少し、433万円(1997年470万円)、正規労働者496万円に対し非正規労働者は176万円です。「賃金構造基本統計調査」(2020年厚労省)によれば、一般労働者の月収平均は30万7700円(男性34万円、女性25万円)、短時間労働者(非正規)の時給は1412円です。短時間労働者がフルタイムで20日働いたと仮定しても月収は22万5960円です。このままではこの格差は拡大しこそすれ解消されることはありません。
 最低賃金は正規労働者にとっても重要な問題です。すでに最低賃金が高卒初任給を上回るケースが生まれていますし、最低賃金引き上げの影響率は全労働者の6%400万人に達し、最低賃金付近に張り付けられている労働者への影響も考えるとその数は1000万にも達します。ここに最低賃金闘争の大きな意義があります。
 「8時間働けば暮らせる社会」、「仕事を求めれば与えられる社会」、「病気になれば安心して休める社会」にしなければなりません。今年こそは、餓死する子どもや、外国人実習生を犬や猫のように働かせたうえに残業代をごまかしたなどという非人間的なニュースのない年にしたいものです。




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